透明な螺旋/東野圭吾
東野圭吾、ガリレオシリーズの第10弾になります。
房総沖で男性の遺体が見つかった。
失踪した恋人の行方をたどると、関係者として天才物理学者の名が。
草薙は、横須賀の両親のもとに滞在する湯川学を訪ねる。
あのテレビドラマで福山雅治さんが主演を務めるガリレオのシリーズです。
毎回、小説も楽しみにして読んでいるのですが、今回はその主人公湯川学の過去が明らかになります。
いつもは科学的トリックを物理学視点から解決していくのがガリレオシリーズですが、今回は湯川の人間味があふれる内容で物理学で解決していくものではありませんでした。ただ湯川の論理的思考で事件の謎が解き明かされていきます。
人は愛する人を守るためなら犯罪をも犯します。
とくにわが子を守るためであれば、自分はどうなってもいいというのが、親の心理だと思います。
それほど、親が子を想う気持ちは強い。
そのあたりの心理を東野圭吾さんは今回の小説に取り入れたのだと思います。
私も1歳の子を持つ親として、この小説を読むと、自分の息子がもし同じような立場になったらとか、置き換えて読んでしまうんですよね。
そうすると、もう胸が痛くなってしまって、途中読むのがつらくなってしまう始末でした。
それと同時に、私は小さいころに父親を交通事故で亡くしているので、貧乏の中、よく母親は私を育ててくれたなとこの小説を読みながら思いました。
家族の形は色々あっていいと思いますが、結局は誰かの力を借りて、人は生きています。一人で生きていくことはできません。
そんな言葉が湯川先生から出るのですが、とても心に響きました。
東野圭吾さんの小説はほぼ全部読んでいますが、これまででベスト5に入る小説になると思います。
とても面白かったです。
最後まで読むと、タイトルの『透明な螺旋』の意味がわかります。切ない内容です。
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